インテントセールスとは?従来の営業との違いと実践方法をわかりやすく解説

「営業リストの上から順番に電話をしている」

「資料をダウンロードしたすべてのリードに同じ内容でフォローしている」

「見込み顧客が多すぎて、誰から優先してアプローチすべきか分からない」

BtoB営業では、このような課題が少なくありません。

限られた営業リソースの中で成果を高めるためには、「自社のターゲットに合っているか」だけでなく、「今、関心が高まっているか」を見ながら営業することが重要です。

そこで注目されているのが、「インテントセールス」です。

インテントセールスでは、企業や個人の行動から得られる「インテントデータ」や「購買シグナル」を活用し、営業する相手、タイミング、伝える内容を最適化します。

本記事では、インテントセールスとは何か、従来の営業との違い、具体的な実践方法について分かりやすく解説します。

さらに、企業単位のインテントだけでなく、資料閲覧などから得られる個人単位のインテントを営業活動に活用する方法についても紹介します。

インテントセールスとは?

インテントセールスとは、顧客の行動から得られる「購買や検討のシグナル」をもとに、営業対象の優先順位やアプローチのタイミング、コミュニケーション内容を最適化する営業アプローチです。

例えば、以下のような行動が購買シグナルとして考えられます。

・特定テーマについて情報収集している
・自社Webサイトを訪問している
・製品ページを繰り返し閲覧している
・料金ページを確認している
・資料をダウンロードしている
・営業資料を閲覧している
・導入事例を重点的に確認している
・過去に送った資料を再び閲覧している

こうした行動を把握することで、

「誰に営業するか」

だけではなく、

「今、誰に営業すべきか」

を判断しやすくなります。

なお、「インテントセールス」という言葉自体に厳密に統一された定義があるわけではありません。

一般的には、インテントデータやBuyer Intent、Buying Signalなどと呼ばれる購買意向を示す情報を営業活動に活用する考え方を指します。

インテントデータとインテントセールスの違い

インテントセールスを理解するうえで、まず「インテントデータ」との違いを整理しておきましょう。

インテントデータは、企業や個人が「何に関心を持っているのか」「どの程度検討している可能性があるのか」を判断するための行動データです。

一方、インテントセールスは、そのデータを使って実際の営業活動を変えることです。

例えば、

「A社が営業DXについて情報収集している」

という情報を取得するだけなら、インテントデータの活用です。

そこから、

「A社への営業優先度を上げる」

「営業DXの事例を案内する」

「関心が高まっている今のタイミングで連絡する」

といったアクションまでつなげるのが、インテントセールスです。

つまり、

インテントデータは判断材料

インテントセールスは、その判断材料を使った営業活動

と整理すると分かりやすいでしょう。

従来の営業とインテントセールスの違い

従来の営業では、企業属性やリストをもとに営業対象を決めることが一般的でした。

例えば、

・業種
・従業員数
・売上規模
・所在地
・役職
・部署

などの情報から、ターゲットとなる企業や担当者を抽出します。

この方法は現在でも重要です。

しかし、企業属性から分かるのは、基本的に「その企業が自社の商品・サービスに合いそうか」ということです。

その企業が「今」検討しているのかまでは分かりません。

従来の営業は「Fit」を重視する

例えば、自社サービスのターゲットが「従業員500名以上の製造業」だとします。

条件に該当する企業を抽出すれば、営業リストを作ることはできます。

しかし、その中には、

「現在まさに営業DXを検討している企業」

もあれば、

「営業システムを導入したばかりで、当面変更する予定がない企業」

も含まれます。

企業属性だけでは、この違いを判断することができません。

インテントセールスでは「Fit × Intent」で考える

インテントセールスでは、企業属性に加えて「Intent=現在の関心や検討状況」を見ます。

つまり、

Fit:自社のターゲットに合っているか

×

Intent:今、関心が高まっているか

の2つを組み合わせて営業優先度を判断します。

ターゲット企業であり、なおかつ具体的な購買シグナルが発生している企業を優先することで、営業活動の精度を高めることができます。

インテントセールスが重要になっている理由

BtoBの購買活動では、営業担当者に問い合わせる前に、顧客自身がWeb上で情報収集することが一般的になっています。

製品サイトを見る。

導入事例を読む。

比較記事を調べる。

資料をダウンロードする。

動画を見る。

過去に受け取った営業資料をもう一度確認する。

こうした行動の多くは、営業担当者が直接会話していない時間に発生します。

つまり、営業担当者から見ると「何も起きていない」ように見えていても、顧客側では検討が進んでいる可能性があります。

顧客が動いたタイミングを営業機会として捉える

例えば、3か月前に商談したものの「時期尚早」となった顧客がいたとします。

従来であれば、

「3か月後に電話する」

「半年後にメールする」

といった営業担当者側のタイミングでフォローすることになります。

一方、インテントデータを取得できれば、

「昨日、料金ページを再訪した」

「以前送った資料を再度閲覧した」

「導入事例を重点的に確認した」

といった顧客側の変化をきっかけにフォローできます。

営業担当者の都合ではなく、顧客の関心が動いたタイミングを営業機会として捉えることが、インテントセールスの大きな特徴です。

インテントセールスで活用できる主なシグナル

インテントセールスでは、一つのデータだけを見るのではなく、複数のシグナルを組み合わせることが重要です。

1. 外部でのリサーチ行動

特定のテーマや製品カテゴリについて情報収集している企業を捉えるシグナルです。

まだ自社との接点がない企業を発見する際に有効です。

例えば、自社が「営業DX」のサービスを提供している場合、「営業DX」「SFA」「営業自動化」などについて調査している企業を営業対象として検討できます。

2. 自社Webサイト上の行動

自社サイトへの訪問も重要なシグナルです。

特に、

・製品ページ
・料金ページ
・導入事例
・比較ページ
・問い合わせページ

など、購買に近いページへのアクセスは営業判断の材料になります。

単純な訪問回数だけでなく、「どのページを見たのか」まで確認することで、顧客の関心をより具体的に理解できます。

3. コンテンツへの反応

資料ダウンロード、ウェビナー参加、動画視聴などもインテントデータとして活用できます。

ただし、「資料をダウンロードした」という一つの行動だけでは、実際の検討度を判断するには情報が不足することがあります。

そのため、ダウンロード後の行動も合わせて確認することが重要です。

4. 営業資料の閲覧

営業担当者が送付した資料の閲覧も、重要なシグナルです。

例えば、

・資料を実際に開いた
・資料の大部分を閲覧した
・料金ページを長く閲覧した
・導入事例を繰り返し確認した
・数日後に再度資料を閲覧した

といった行動です。

すでに営業接点のある顧客については、こうした個人単位の行動から、現在の関心をより具体的に把握できます。

5. 企業や担当者の変化

購買シグナルは、Web上の行動だけとは限りません。

例えば、

・資金調達
・新拠点の開設
・新規事業の開始
・採用の拡大
・担当者の異動
・経営層の変更

といった企業の変化も、新しいニーズが発生するきっかけになることがあります。

重要なのは、それぞれのシグナルを単独で判断するのではなく、「自社の商品・サービスにとって何を意味するのか」を考えることです。

インテントセールスを実践する4つのステップ

インテントデータを取得するだけでは、営業成果にはつながりません。

重要なのは、取得したデータを実際の営業プロセスに組み込むことです。

STEP1:誰をターゲットにするか決める

まず、自社にとって営業すべき企業の条件を整理します。

例えば、

・業界
・従業員数
・売上規模
・部署
・役職
・利用中のサービス

などです。

インテントが高い企業でも、自社の商品・サービスの対象外であれば優先度は高くありません。

そのため、まず「Fit」を定義し、その上で「Intent」を重ねることが重要です。

STEP2:営業につながるインテントを定義する

次に、「どの行動を営業シグナルとして扱うのか」を決めます。

例えば、

・料金ページを閲覧した
・導入事例を複数閲覧した
・営業資料の閲覧度が高い
・重要ページを複数回閲覧した
・一定期間内に再訪した

などです。

すべての行動を同じように扱うのではなく、自社の営業プロセスにおいて商談につながりやすい行動を特定します。

STEP3:インテントに応じて営業の優先順位を変える

インテントが発生したら、営業担当者がすぐに判断できる仕組みを作ります。

例えば、

高インテント
→ 営業担当者がすぐにフォロー

中インテント
→ 関連コンテンツを案内して反応を見る

低インテント
→ 継続的にナーチャリング

といった運用です。

「インテントデータを見られる」だけではなく、インテントが発生したときに何をするのかまでルール化することが重要です。

STEP4:相手の関心に合わせてアプローチする

インテントセールスでは、アプローチのタイミングだけでなく「何を伝えるか」も重要です。

例えば、導入事例への関心が高い顧客であれば、類似企業の事例を紹介します。

料金ページへの関心が高ければ、料金体系や導入条件を補足します。

セキュリティ関連のページを見ていれば、セキュリティ資料を案内します。

このように、

顧客の行動

↓

関心テーマを理解

↓

次に必要な情報を提供

という流れを作ることが、インテントセールスの基本です。

「企業インテント」だけでは営業アクションにつながらない場合もある

企業単位のインテントデータは、「どの企業を営業対象にするか」を判断するうえで非常に有効です。

例えば、

「A社が営業DXについて情報収集している」

と分かれば、A社への営業優先度を上げることができます。

しかし、実際に営業担当者がアプローチしようとすると、次の疑問が生まれます。

「A社の誰に連絡すればよいのか」

「何について話せばよいのか」

「今、本当に連絡すべきなのか」

企業単位のインテントだけでは、こうした情報が不足する場合があります。

個人インテントまで分かると営業の解像度が上がる

例えば、

「A社の田中さんが、昨日送った資料を再閲覧した」

「導入事例のページを重点的に見ている」

「料金ページを複数回確認している」

ことまで分かったとします。

この場合、

誰に
→ 田中さん

いつ
→ 関心が高まっている今

何を
→ 導入事例や料金について

伝えるべきかが明確になります。

つまり、企業インテントが「営業すべき企業を探すデータ」だとすれば、個人インテントは「具体的な営業アクションを決めるデータ」として活用できます。

インテントセールスで重要な「3つの関連性」

インテントデータを取得しても、顧客の行動をそのまま営業メールに書くのは適切ではありません。

「料金ページを3回見ていたのでご連絡しました」

と伝えれば、顧客に監視されているような印象を与える可能性があります。

重要なのは、取得したインテントを営業側の判断材料として利用し、自然なコミュニケーションに変換することです。

その際、以下の3つの関連性を意識すると分かりやすくなります。

1. 話すテーマの関連性

顧客が関心を持っているテーマに合わせて、会話のテーマを選びます。

導入事例への関心が高ければ、同業他社の事例を話す。

料金への関心が高ければ、導入費用や契約条件を話す。

顧客の関心と営業側の話題を一致させます。

2. 提供する情報の関連性

顧客が次に必要としそうな情報を提供します。

単に「商談しませんか」と連絡するのではなく、

「同じ課題を持つ企業の事例」

「比較検討に必要な情報」

「導入時によく確認されるポイント」

など、顧客の検討を前に進める情報を提供します。

3. 次のアクションの関連性

すべての顧客に「30分の商談」を求める必要はありません。

まだ情報収集段階であれば、関連資料を案内する。

具体的な検討段階であれば、個別相談を提案する。

顧客のインテントに合わせて、CTAそのものを変えることも重要です。

インテントセールスとAIの相性が良い理由

インテントデータが増えるほど、営業担当者がすべてのデータを確認して判断することは難しくなります。

そこで活用できるのがAIです。

例えばAIが、

・インテントデータ
・CRMの顧客情報
・過去の商談履歴
・メール履歴
・架電履歴
・資料閲覧履歴

を参照できれば、顧客ごとに次の営業アクションを提案できます。

例えば、

「過去の商談では費用が課題だった」

「直近で料金ページへの関心が高まっている」

「導入事例も重点的に閲覧している」

という情報を組み合わせ、

「類似企業の導入事例と料金体系を案内する」

というアクションをAIが提案するイメージです。

インテント検知から営業アクションまで自動化する

さらに、

インテントを検知する

↓

顧客情報や過去の接点を確認する

↓

次のアクションを判断する

↓

顧客に合わせたメールを作成する

という一連の流れをAIで支援・自動化することも可能です。

これまで営業担当者がダッシュボードを確認して判断していたインテントデータを、AIが直接営業アクションにつなげることで、より迅速なフォローが可能になります。

資料閲覧データを活用したインテントセールス

営業コンテンツクラウド「GRiX」では、顧客に共有した資料や動画の閲覧行動を可視化できます。

例えば、

・誰が閲覧したか
・どのページを閲覧したか
・どの程度閲覧したか
・どのページに長く滞在したか
・何度閲覧したか
・再度閲覧したか

といったデータです。

これにより、「資料を送った」という営業活動だけではなく、その後に顧客がどのような行動をしたのかまで把握できます。

「資料を送った人を追う」から「動いた人を追う」へ

例えば、100人に営業資料を送ったとします。

従来であれば、100人全員に同じ内容でフォローするか、営業担当者の判断で一部の顧客に連絡することになります。

しかし閲覧データがあれば、

資料をほとんど見ていない人と、料金や事例ページを重点的に読み、数日後に再閲覧している人

を区別できます。

営業担当者は、後者を優先してフォローできます。

さらに関心ページまで分かれば、顧客に合わせて次に提供する情報を変えることもできます。

つまり、

「誰に営業するか」

だけではなく、

「いつ、何について営業するか」

まで判断できるようになります。

まとめ|インテントセールスは「今、動いている顧客」を起点に営業する

インテントセールスとは、企業や個人の行動から得られる購買シグナルをもとに、営業対象、タイミング、コミュニケーション内容を最適化する営業アプローチです。

従来の営業が企業属性を中心に「誰に営業するか」を判断していたのに対し、インテントセールスでは、

Fit:自社のターゲットに合っているか

に加えて、

Intent:今、関心が高まっているか

を見ながら営業の優先順位を判断します。

さらに、企業単位のインテントだけでなく、

「誰が」

「いつ」

「何に」

「どの程度」

関心を持っているのかまで把握できれば、営業活動の解像度はさらに高まります。

そして今後は、インテントデータとCRM、過去の営業履歴をAIが組み合わせ、

「誰を追うべきか」

「何を伝えるべきか」

「どのようなアクションを取るべきか」

まで判断する営業へと進んでいくと考えられます。

インテントデータを「見るためのデータ」で終わらせず、実際の営業アクションにつなげる。

それがインテントセールスの重要な考え方です。

資料閲覧から個人インテントを可視化する「GRiX」

GRiXは、営業資料や動画を共有した後の顧客行動を可視化し、「誰が・いつ・何に・どの程度」関心を持っているのかを把握できる営業コンテンツクラウドです。

資料をダウンロードしたかどうかだけではなく、その後の閲覧ページや滞在時間、再閲覧などの行動を捉えることで、フォローすべき顧客の優先順位付けや、相手の関心に合わせた営業アプローチに活用できます。

▶️ GRiXサービス概要資料のダウンロードはこちら

公式サイト:https://www.aimytech.co.jp/grix

参考情報

インテントデータ、Buyer Intent、Buying Signalおよび営業での活用方法について、LinkedIn Sales Solutions、Salesforce、HubSpotの公開情報を参考にしています。

・LinkedIn Sales Solutions「Guide to Buyer Intent」
・Salesforce「What is Sales Intelligence?」
・Salesforce「5 Buying Signals Too Many Sellers Miss」
・HubSpot「Use buying signals in the sales workspace」

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